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株式会社ココウェル - ココナッツ辞典

  1. 基本情報
  2. 果実
  3. ココナッツ以外のヤシ

基本情報

ココナッツとは?

ココナッツとはココヤシの果実で、日本ではヤシの実やココナツと呼ばれることもあります。

ヤシ類は人類が誕生するよりももっと前の1億2000万年前の白亜紀に発生したと言われていて、全部で3000種類以上ある中の一つが「ココヤシ」(学名:Cocos nucifera)です。

豆知識

Q.ココナッツとヤシの実の違いは??

A.厳密にはヤシの実というと様々なヤシ科の植物の実を指しますが、最も代表的なヤシ科の植物がココナッツのため、一般的にヤシの実と呼ばれるものはココナッツの実を指すことが多いです。

生育条件と生育地域

ココヤシは常緑高木で、アジアや太平洋、アフリカ西海岸、中米や南米などの熱帯・亜熱帯の開発途上国に多く分布しています。赤道を挟んで南北25°のココヤシがよく育つ地域が「ココナッツベルト」(右図赤ライン)と呼ばれています。

良質なココナッツが育つ条件

沖縄は台風が多いので日照時間が少ないのです。 このように日本の一番南に位置する沖縄でも条件が揃わないので、日本でココヤシを育てるのは難しいのです。

平均気温
25~27℃
日照時間
2000時間以上/年
年間降雨量
1500〜2500ml/年

沖縄県と比較すると…

平均気温
23℃
日照時間
1760時間/年
年間降雨量
1500〜2500ml/年

ココヤシの生育には農薬や化学肥料を使う必要がありません。地中のミネラルを養分として成長するためです。海水を好むので、通常の植物が塩害で育たない沿岸部でも生育することができ、内陸地のココヤシには肥料の代わりに塩をまくこともあります。適度な塩分はココヤシの成長を促し、雨量が少ない時は保水性を高める役割をします。苗を植えてから約6~8年で実をつけ、その後約70~80年程収穫できます。

またココヤシは自然や生態系に優しい植物です。背が高く適度な日陰になることや、根が幹周辺に集中して横に広がらないことから他の植物の邪魔をしないため、他の植物と共生することが可能です。

ココヤシの下では、バナナやマンゴーといった果物や、コーヒーやカカオなどのマメ科の樹木、キャッサバやサツマイモ、かぼちゃなどの野菜やハーブなどの栽培をすることができます。また、ココナッツ林の中では鶏などの家禽の飼育や、牛や山羊などの家畜も同時に行うことができ、土地を有効に利用した生産システムを作ることができます。

また温暖化による海面上昇の被害が懸念される地域でもココヤシは塩害の影響を受けないため、貴重な食糧源として期待されています。

世界からみたココナッツランキング

ココナッツ産出量

1位
インドネシア
2位
フィリピン
3位
インド

※国連食糧農業機関2019

ココナッツオイル生産量

1位
フィリピン
2位
インドネシア
3位
インド

※アメリカ農務省2019

ココナッツオイル消費量

1位
フィリピン
2位
EU
3位
インド

※アメリカ農務省2019

ココナッツオイル輸出量

1位
フィリピン
2位
インドネシア
3位
マレーシア

※アメリカ農務省2019

ココナッツの品種について

フィリピンでは一般に「Tall(背が高い品種)」と「Dwarf(背が低い品種)」の2つの品種に分けられます。

Tallが原種で、Dwarfは品種改良によって背が低くされたもので、木に登るのが楽なので花蜜を集めるのに適しています。

またTallとDwarfを掛け合わせた品種も数多くあり、「Malayan Red Dwarf × BAYBAY TALL」など、地名などの名前が付けられています。

ココナッツには突然変異の品種があり、「Macapuno(マカプノ)」と呼ばれます。

実の外見は同じですが、割ると中身が柔らかいゼリー状の果肉で覆われています。

通常、マカプノが存在する木のうち、10%ほどの実がそのようなゼリー状の果肉で覆われています。

豆知識

ココナッツは、世界的に400種類ほどの品種があると言われています。
例えば「Aromatic」という香りの強いものや、「GoldenCoconut」という色が黄色いものもあります。

ココヤシが
「生命の木」と言われている理由

「ココヤシの木があれば、家族が一生食べていける」と言われるほど生産性が高く、熱帯の人々にとっては日常生活を支える重要な植物だからです。木も葉も実も全てが捨てるところなく活用されて利用価値の高い植物です。

果実

1本の木からは通常、年間100個前後の実が収穫できます。多いものだと200個もの実が採れたという記録があります。平均的な大きさは20~25cmくらいですが、熟した果実は30センチ以上になることもあります。

1つの実の重さは2~4kgです。緑色の若い果実にはココナッツウォーターがたっぷりと入っています。

ココナッツウォーターは熟すにつれて胚乳と呼ばれる可食部に変化するので、熟した実にはココナッツウォーターは微量しか入っていません。

成熟した茶色い果実は胚乳が分厚くなり、そこからココナッツミルクやココナッツオイルが採れます。

果実の断面図

果肉からできるココナッツ製品

  • 1.ココナッツは黄色い花をつけます。

  • 2.雄雌同株で、同じ花に「おしべ」と「めしべ」があります。

  • 3.雄花の下に雌花があり、21~28日間隔で苞が現れます。この苞を傷つけると、そこからポタポタと花蜜が採れます。

  • 4.この花蜜を収穫後すぐに煮詰めて水分を飛ばすと「ココナッツネクター」や「ココナッツシロップ」と呼ばれる甘い液糖になります。これをさらに煮詰めて結晶化させたものが「ココナッツシュガー」です。

  • 5.花蜜は収穫後時間が経過すると、どんどん発酵が進みます。

    ココナッツの花蜜からは2種類のお酒ができます。

    少し発酵させた後、蒸留したものが「ランバノグ」。花蜜をしっかり発酵させたものが「トゥバ」。トゥバがさらに発酵すると「ココナッツビネガー」と呼ばれるお酢ができます。

花蜜からできるココナッツ製品

1本の木には30枚程度の葉が付きます。
葉1枚の長さは5~7mにもなり、10~20kgもの重さになります。葉身は鳥の羽のような形(羽状)をしています。

葉は3年周期で落ち、1年に15~18枚の新しい葉を付けます。

1枚の葉からは、さらに幅4cmほどの小葉(しょうよう)と呼ばれる葉が約250枚ほど伸びていて、1枚の小葉からは1日に10mlの水分が蒸散されています。1本の木で計算すると、なんと75リットルもの水分が1日で蒸散されるのです。

葉はしっかりと幹とつながっているため、人の力では外すことができません。台風による強風が吹き荒れてもめったに落葉しませんが、葉の老朽化に伴い枯れた葉は自然に落下します。木から落ちた葉は建物の屋根材として再利用されたりもします。

平均的な高さは20m~25mですが、30mを超えるものもあります。

直径は約40cm程度で形成層がないため、いったん幹が出来上がると年とともに幹が太くなっていくことはありません。

幹の断面には年輪はなく、18000の維管束が無数の黒点のように散在しています。

台風などの強風にも幹をしならせて回避し、折れにくいのが特徴です。

また、幹には縞模様が刻まれています。この縞模様は葉が付いていた痕で「葉痕(ようこん)」と呼ばれます。

ココヤシの頂部には巨大な葉と果実がついています。

頂部の重量をざっと計算すると約1トンにもなるというデータもあるので、これを支えるために根は地中深く深くに伸びていると思われがちですが、意外にも根系の広がりは限られています。

背の高い木を支えるために2000~10000本の細かな根があり、平均的な長さは1.5mほどです。 根は幹周辺に集中しており、半径1.5~2m程しか横に広がらないことから他の植物の邪魔をせず共生が可能です。

ココナッツ以外のヤシ

アブラヤシ (学名:Elaeis guineensis)

一般的には「パームヤシ」と呼ばれ、ココヤシとよく混同されます。

アブラヤシから摂れる油はパーム油(パームオイル)、パーム核油(パームカーネルオイル)です。赤い実を房状に付けるのが特徴です。アブラヤシから採れたパーム油やパーム核油は、世界的に出回る代表的な植物性油脂として私たちの身の回りに溢れています。

インスタント食品やスナック菓子、マーガリン、アイスクリームや洗剤などに利用されています。洗剤や化粧品などでもアブラヤシから摂れた油が原料として多く使われています。

アブラヤシはマレーシアやインドネシアの2カ国で、世界の85%が生産されています。パーム油やパーム核油は、実を収穫してから24時間以内に搾油しないと品質が落ちてしまうため、搾油工場がセットになっている場合がほとんどです。効率的に収穫、搾油するために、大規模なプランテーションで生産されています。

そのため、熱帯雨林の伐採が行われ、森林破壊の原因にもなっています。そこに住むオランウータンが絶滅の危機に立たされたり、ゾウの生息地が奪われたりと社会問題にもなっています。

また収穫量が徐々に下がるために20~25年ほどで焼き払われて、植え替えが行われます。パーム油の生産には熱帯雨林の破壊や生育する動物の多様性などに大きな影響が及ぶため、一定の基準を満たしている農園で作られたパーム油には「持続可能なパーム油のための円卓会議」(RSPO)が認証マークを付与しています。EU総会では、2020年までにEUで使用されるパーム油を100%認証油に切り替えるという計画も発表されています。

ワカバキャベツヤシ (学名:Euterpe oleracea)

日本では「アサイー」として知られており、抗酸化物質を豊富に含むスーパーフードのひとつです。

ブラジルのアマゾン熱帯雨林が原産の植物で、ブラジルでは大昔から伝統的な健康食品として利用されてきました。特定の気候を好むため、赤道に近い熱帯地域でしか育ちません。

アサイーは果実がブルーベリーに似ているため、ベリー系の植物と勘違いされていますが、ココナッツと同じヤシ科の植物です。

ナツメヤシ (学名:Phoenix dactylifera)

日本では「デーツ」と呼ばれ、ドライフルーツとして馴染みがあります。

紀元前6000年から栽培されていたと言われており、旧約聖書にも登場し「神の与えた食べ物」や「エデンの園の果実」と語り継がれるほど、太古から貴重な栄養源とされてきました。北アフリカや中東で広く栽培され、果実は直径2~3cm、長さが5cmぐらいの楕円形の大きさで、房状に実をつけます。一房で10kgを超えるものもあります。熟成度によって、赤、橙、黄、えんじ、黒と様々な色があります。名前も形も良く似ていますが「ナツメ」とは違う種類の植物です。

カルナウバヤシ (学名:Copernica cerifera)

南米、とくにブラジルで多く生育しています。

乾季になると葉から水分の蒸散を防ぐために、表面から蝋(ロウ)がでてきます。この蝋はカルナウバロウと呼ばれ、天然の植物ロウの中では一番融点が高く、固さがあるため化粧品原料としても利用されています。

ココウェルのリップクリームにも使用しています。

サトウヤシ (学名:Arenga pinnata)

名前の通り、砂糖が採れるヤシです。

主にインドからマレーシアで栽培され、15~20mほどの幹の上に付ける花序の蜜を煮詰めると、砂糖が採れます。ココヤシからもココナッツシュガーが採れますが、それと区別するために、「アレンシュガー」と呼ばれることがあります。

ニッパヤシ (学名:Nypa fruticans)

別名「海ヤシ」「ウォーターココナッツ」とも呼ばれ、海水と淡水が交わる湿地を好みます。

水の中に根を張って地上すぐから大きな葉を空に向けて伸ばします。葉は硬く、その特性を活かして家の壁、小屋、畜舎、屋根を葺く材料など幅広く使われています。果実はこぶし大のイチジク型の実が10個くらいかたまって房になります。花序の蜜からは、サトウヤシやココヤシ同様、砂糖やヤシ酒を作ることができます。