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COCONUTIST 2021・Summer


Philippines Report Vol.4

「利益の最大化よりも大切なこと」掲げるフィリピン社会企業

認定NPO法人アクセス 事務局長  野田 沙良(のだ さよ)

 

 

フィリピン生まれのソーシャルブランドにワクワク

17年前にフィリピンで暮らしていた頃、手芸好きの私は「フィリピンらしい布」を探して、ショッピングモールを見て回っていました。でも、首都マニラのおしゃれなモール内は、日本でもよく見かける海外ブランドのショップばかり。フィリピンの伝統技術を用いた織物は、外国人や観光客向けのお土産店でしか見られず、フィリピンの人々からは「古くさいもの」として受け止められているようでした。

伝統織をセンターにあしらったAKABAのパソコンケース

 

十数年後の2017年。とあるモールで、フィリピンの伝統織をおしゃれにかっこよくデザインしたバッグ、衣類、財布などを販売するブランドショップを見つけました。AKABAという名のそのブランドは、少数民族の伝統技術を守るとともに、農村に仕事を生むことで貧困削減にもつなげることをめざし、2014年に立ち上げられたソーシャルビジネスでした。

 

同じ時期、コスメ商品売り場でも「オーガニック」「環境負荷が小さい」といった文言を見かける場面が増えました。中でも「Human Nature」というブランドは、そのカタログの3ページ目に「利益を最大化することよりも、人々が貧困から抜け出せるようにすることを大切にします」と謳う、ソーシャルビジネスでした。

 

「フィリピンでもソーシャルビジネスの起業が増えているのかも!」そんな感触を持ち始めていた私に、同僚のフィリピン人がプレゼントをくれました。国産カカオとココナッツシュガーを使った、缶入りヴィーガンチョコレートです。苦みと甘みの絶妙なバランスにカカオニブの歯ごたえが加わったオトナの味がたまらず、あっという間に食べきってしまった私。空き缶を持参すれば次回は値引きしてもらえる、というエコなサービスも魅力的でした。

 

ヴィーガンチョコレートDIWATAの缶。次回買う時まで保管しています。

 

「社会をよくする製品を買いたい」フィリピンの若者たち

チョコを紹介してくれた同僚、ジセルは、フィリピン大学を卒業後に外資系企業での勤務を経験したものの、「社会課題の解決につながる仕事をしたい」とNGOに転職してきた20代です。ジセルのように、ヨガを楽しみ、ヴィーガンやオーガニック製品に関心を持って少しずつ生活に取り入れる若者が、フィリピンでもゆっくりと増えてきています。スラム在住で1日3食食べるのにも苦労する人、農村で天候に左右される農業・漁業でギリギリの暮らしを強いられる人も少なくないフィリピンですが、徐々に中流層の割合が増えてきているのも確かで、その中から「社会をよくする製品を選んで買いたい」という層がじわじわと増加中なのです。

 

フィリピンの社会起業の進化

実のところ、フィリピンにおける貧困削減を目的にした社会的起業は、数十年前からありました。その多くは、教会やNGOが立ち上げた生計支援事業で、地道にコツコツと継続されてきました。ではなぜ、ここ数年で魅力的なソーシャル商品が目立つようになったのでしょう? その違いは大きく2つあるように思います。

フィリピンの貿易産業省が運営するアンテナショップ「Go Lokal」にて

 

1つは、ビジネスコンペで資金を獲得するなどし、大規模モールに出店するといった投資がしっかりとなされるようになってきている点です。もう1つは、フィリピンで活躍するプロのデザイナーを起用し、商品そのものから、ブランドロゴ、ウェブサイトまで、デザインの力を最大限活用するようになってきている点です。その結果、大手マスメディアやWEBメディアがこれらの製品や企業を紹介するようになり、人々の目に留まりやすくなってきているのです。

 

起業する側の努力という意味でも、社会的な環境という意味でも、「社会に良いだけじゃなく、質もデザインもいい製品を買いたい」という消費者の期待に応える力が、ここ10年ほどで大きく伸びているように思います。

フィリピン政府の貿易産業省も、そうした動きを応援しています。全国に114のアンテナショップ「Go Lokal」を開設し、478もの小規模生産者や社会企業の商品を、世界中のバイヤーや個人に発信しているのです。同省は生産者団体とデザイナーをマッチングする取り組みも行っており、魅力的な商品づくりを後押ししてくれています。

 

 

フィリピンで働くアクセスのスタッフに聞いてみました。

たくさんの社会的企業がフィリピンで生まれ、その多くが若い世代によって起ち上げられています!

 

ジセル・フェルナンデス
アクセス・フィリピン フェアトレードマーケティング担当

若者のために活動するいくつかのボランティア団体で活動したのち、2017年にアクセスに入職。フェアトレード商品の販路を広げることが主な任務。フェアトレード商品の販路を広げることで生産者の数を増やし、フェアトレード事業を持続可能な事業モデルにしていくことが夢。趣味は、漫画を読んだり、ボードゲームをしたり、世界を変えていくことを願いながら1つの単語を書き出すこと。

フェアトレード事業部担当のジセルさん

<ジセルからのコメント>

 最近はたくさんの社会的企業がフィリピンで生まれていて、その多くが若い世代によって起ち上げられています。利益の最大化を重視するビジネス界に対して、生産者の労働環境や暮らしを守ることに重きを置いたソーシャルビジネスが挑むという変化はうれしいことです。
 でも、社会的企業と打ち出しているビジネスがホンモノなのか(本当にフェアトレードなのか、地元産なのか、手作りなのか)、ということをしっかりと見極める目を、私たち購入者は磨いていく必要があるとも思います。

トレーサビリティー(例えば、どこが産地か、どうコミュニティに貢献しているかといったこと)に関わる情報が提供されていないならば、その商品を購入するかどうかを考えなおした方がいいかもしれません。

今回の記事で紹介しているAKABAやHuman Natureは、商品の背景にある情報をしっかりと公開している、良い事例のソーシャルビジネスです。そうした背景情報を公開せず、国産に見せかけて外国産を販売する、自称「社会的企業」も増えていることが、社会問題になりつつあります。

 

野田さんと打ち合わせをするジセルさん

 

 

 

筆者プロフィール

認定NPO法人アクセス 事務局長
野田 沙良(のだ さよ)

フィリピンで活動する国際協力団体アクセスで、「子どもに教育、女性に仕事」を柱とした活動に従事。フェアトレードのココナッツ殻雑貨などの生産・販売も。

https://access-jp.org

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ココウェルでは、認定NPO法人アクセスさんがフィリピンで作っているココナッツ殻を販売しています。

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