ココナッツ専門店ココウェル

ココナッツ情報マガジン「ココナティスト」
COCONUTIST 2021・Autumn

特集
フィリピンと日本を繋ぐ ココウェルの活動
COCO FUND PROJECT

 

農家支援を目的とした「“WITH COCO FARMER” プロジェクト」、高校生に渡航の機会とフィリピンの貧困を知る機会を提供する「COCO FUND プロジェクト」など、ココウェルは日本とフィリピンを結ぶ取り組みを長年実施してきました。2021年8月からは、現地に必要な物資や資金を今まで以上に届けられるよう、2つのプロジェクトを1つにし、新しい「COCO FUND PROJECT」を発足させます。 プロジェクトにかける思いを代表・水井裕に聞きました。

 

 

 

フィリピンと日本を繋ぐココウェルの活動
改めて、2つのプロジェクトについて教えてください。

 

「WITH COCO FARMER」は、対象商品につき3ペソ(約6円)をフィリピンの農家に支援するため積み立ててきました。2010年の開始以来、2020年7月までに総額7,057,977ペソ(約14,115,954円)が集まり、ココナッツ苗や肥料、チェーンソー購入や倉庫建設に充てました。また、台風や地震などの災害時には食糧支援を実施。現地との関係性を生かし、草の根の活動をしていました。 「COCO FUND プロジェクト」は、日本で生きづらさを抱えた高校生を支援するために積み立ててきました。2014年にスタートした認定NPO法人D×P(ディーピー)との協働プロジェクトです。これまでに2020年7月までに総額1,540,200円が集まり、9名の学生を、フィリピンのスタディツアーへと送り出しました。

 

WITH COCO FARMER プロジェクトで、機械を支援

 

COCO FUND プロジェクト、フィリピンへのスタディーツアーの様子

 

 

2021年夏、リニューアル

今回、2つのプロジェクトを「COCO FUND PROJECT」として まとめることになったのは何故でしょうか?

新型コロナウイルス感染症の流行により、フィリピンを訪れることができない日々が続いています。農家さんの支援も、2020年に起こったタール火山噴火被害支援も、納得いくようにできていないのが正直なところです。現地では様々な団体が活動しているので、今後は連携しながらフィリピンを良くする活動をしていきたいと思っています。そのため、プロジェクトを一つにまとめて柔軟に動けるようにしたいと考えました。

 

 

 

今後はどのような活動を予定していますか?

三本柱で考えています。一つ目は、D×Pと取り組んでいる高校生の自立支援。引き続き、日本で生きづらさを抱えている高校生にスタディツアーに参加してもらう機会を創り出していきます。二つ目は、フィリピンの子どもたちの学習支援です。新型コロナウイルスによって、フィリピンの学校はほぼ全てオンライン授業になりました。しかし、パソコンを持たず、ネット環境もない子どもが多く、教育を受けられる機会が失われています。フィリピンでは以前から人口増加による教育格差が社会課題になっていて、都市部では学校の数が足らず、三交代制で通うということも起こっています。教育を受けられないと貧困は連鎖します。現地のNGOと連携しながら、学習支援に取り組みます。三つ目は農家支援です。ココナッツは生えているのに、仕事にできていない地域がまだまだあります。そこで、ココナッツの生産や輸出を支えるフィリピンのココナッツ庁と連携し、ゼロから農家の仕事をつくる仕組みを模索中です。

 

 

 

 

一方的な支援ではなく補い合う関係性

2004年の創業から17年が経ちました。印象的だった出来事は何でしょうか?

 

2013年11月のヨランダ台風災害です。日本でも大きなニュースになったため、日本での関心も高く、いつも以上に声をかけていただいて心が熱くなったのを覚えています。2週間後に現地入りをし、目の前に広がったのは想像以上に悲惨な状況。これまでの繋がりを生かし食糧等を現地で調達し、3度被災地に運びました。当時、世界中から物資は送られてくるものの、輸送が追いつかず各家庭まで行き届いていない状況でした。僕たちは家庭ごとに食料を届けたため、とても喜んでいただけたと思います。

 

 

積み重ねてきたネットワークを生かせたんですね。


次に必要とされるのが仕事の創出でした。そこで立ち上げたのが、「COCO WOOD PROJECT」。台風で倒れた3400万本のココナッツの木を利用して、食器や雑貨作りに取り組み始めました。木材としても利用されているのでココナッツは向いていると思いましたが、意外にも脆く、割れやすいことがわかりました。そこで、現地で別の木を探し、今は「Francis+Dale(フランシスデール)」ブランドで販売しています。

 

 

 

長年フィリピンと日本を行き来する中で、両者はどんな関係性を築いていけることがいいと考えていますか?

 

それぞれに良いところ・悪いところがありますし、持っているもの・持っていないものがあります。それらを補い合えるのが大事なのではないでしょうか。例えば、フィリピンは若い人が増え、日本は高齢化社会を迎えています。正反対の未来に進んでいますよね。 ココウェルは、フィリピンの貧困問題を解決したいと思い活動をしていますが、それは現地の人が持っているココナッツという素晴らしい資源を享受させていただいているからです。補い合っているだけで、決して一方的な支援ではありません。 フィリピンは、東南アジアで日本から一番近い国です。人も物もより良い関係を築きたいですし、その中でココウェルは、ココナッツを通じてお互いにないものをカバーし合える立ち位置になれたらいいなと思います。

 

ココウェルと考えるSDGsのページでは、「認定NPO法人D×P代表  今井さん」のインタビューを掲載しています。

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